大人になってデッサンを学ぶということ

f:id:lingmu0788:20191002063837j:plain

大人になってデッサンを学ぶということ

 

整体を通信教育で習得する講座の広告を新聞で見ると、とっても
いかがわしい匂いがプンプンでいなや感じがします。

整体を施術するよりも、整体を教えた方が絶対コスパがいい。
昔、整膚とう整体っぽい施術の実地講習を受けたことがある。
その時、絶対に実地講習を受けて実際に患者さんの体を触って
経験を積み重ねなければ習得できないと確信したのです。

分野は違いますが、デッサンも通信講座のような形態では取得する
のは困難だと思います。

とはいえ、仕事が忙しい、近くに適当な教室がない、いまさら初めても遅い、
どうせ上手くなれない、才能がない.... 等々。
理由は様々ですしょうが、興味はあるけど実際に始めるのは.... ????
という人が大半でしょう。

かくいう私も、デッサン教室に通い始めるまで約三年間もんもんとした
日々を無駄に過ごしてしまいました。

しかし一旦はじめてみれば早や三年が経ちました。
クラスには美大受験を目指す高校生が多くいます。
彼らの吸収力と成長のスピードは驚くほどで、やっぱり若いうちに
始めないとだめなのかな~と弱気な気持ちもちらほらわいてきます。

しかし、大人には大人のスタイルがあります。
そもそも今から美大を受験しようなどとは夢にも考えていません。
だから、他人と比べることはもそもそも意味がありません。

義務教育時代の美術教育は、自由に描いてください的な無軌道な
内容だったように記憶しています。

この三年間でデッサンの技術以上の”何か”を
たくさん得ることが出来ました。

 

その”何か”はいわゆる暗黙知というやつで、言語化が難しいのですが
とにかく書いてみます。

1. 対象をもよく観るようになった
2. モノの構造を考えるようになった
  見えない部分も含めて表面的な形だけ見ていてもうまく描けません。
  そのことから類推すると、人間はいままでの経験から見えているいる以外の部分も想像して補完しているのではないかと思われます。
3. 世界が興味深く見えてくるようになった。

 

デッサン教室とは別に、約一年前から”毎日スケッチ”を始めた。
”毎日スケッチ”とは、ほぼ毎日朝10分程度でボールペンだけで身近なモノ素早くスケッチすること。

デッサンは鉛筆で消したり描いたり、擦ったりを繰り返す作業なので
ある意味何度でも修正可能な方法である。

それに対して、ボールペンは Pentel K105、黒。
文房具店で100円程度で売れれている超一般的な普及タイプのボールペン。
普段生活しているとペンのインクを最後まで使い切る機会はなかなかない。
しかし、毎日使っているのですでに三回くらいインクを最後まで使い切っったことがある。
ちょっと嬉しく、誇らしいような気がする。
ボールペンも本望であろう。

なぜこのボールペンにしたかは、五十嵐大介さんという漫画家のファンだかれである。
「漫勉」という、漫画家さんが作画している様子をカメラで記録する番組で、五十嵐さん
が、このボールペンを使ったいるのを知ったからだ。
もちろん、同じ道具を使ったからといって同じように上手く描けるわけではない。
しかし、そこは気分を盛り上げるために、安易に同じので描こうとしたわけです。

番組では、連載中の「ディザインズ」の海岸のシーンを作画している様子が紹介されていた。
自分の中ではボールペンはほぼ同じ太さでそろった線を描く道具だという先入観があった。
しかし、五十嵐さんはボールペンでかすれた線を自在に描いていた。

自分も,Pentel K105を使い始めた当初は、全然かすれた線が描けなかった。
それが一年続けたいまでは、自在とまではいかなくてもある程度意図的に
かすれ線を描けるようになった。

自分の手の延長にPentel K105のペン先がある感じである。
なかなか気持ち良い。

この経験から得られた教訓:
道具は使いこめば使いこむほど、思うように使えるようになってっくるということ。