アンドレ・マルロー氏との対談

海賊とよばれた男 下」p353
國岡鐵造(出光佐三:出光興産創業者)が来日中のアンドレ・マルロー氏と対談。
時に1974.05.17(昭和49年)。
とすると、この対談の翌日池田氏と対談したことになる。
ネットがない以前であれば、この事実を確認するのは大変であったろうが、今は直ぐにこのようにGoogle検索で確認できる。但し、プロのジャーナリストであれば、ネットで見つけた情報であても、自ら確かな(と思われる)一次情報に当たるのが筋であろう。ネット以前の研究者は、このような調査自体が多くの労力を伴う作業なのでそれなりに価値があっただろうが、現代においては、さらにその一歩先をゆく独自の考察がなければ価値がないであろう。


海賊とよばれた男」を読んでいると、今まで知らなかったことが多々ある。歴史は底なしの沼のようで、底知れぬ深さがある。例えば、対談したという事実が確認されていたとしても、そこにある真実を我々が認識できるか否かは、その各個人の見識にかかっている。
あえて言えば、事実が真実であるか否か、又真実が事実であるかいなかは、外から見ているだけでは正しく判断はできないと言える。
小説では、マルロー氏自身が唯一自らが希望した対談相手が鐵造となっているが、恐らく池田氏もその一人なのではないだろうか。
池田氏が対談相手に選んできた相手について、自分の見識では到底計り知れない思慮があったと推察される。
この小説を読む限り、間違いなくマルロー氏みずからが希望したであろう日本人の一人は、鐵造に間違いないだろう。


以下、引用
http://blog.goo.ne.jp/nayuta-gakujin/e/d9421056aeb52911dfa9711315000671
アンドレ・マルロー氏との対談
2007-09-01 02:15:39
カテゴリー: 書籍引用
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池田:(略)しかし、そうした日本人のフランスにたいする敬意にたいして、少なからず傷をつけているのが、核実験のたび重なる強行です。日本人は核爆発によって、長崎と広島の市民、数十万人が殺された。また、アメリカの核実験による放射能を含んだ死の灰で、犠牲者を出した暗い思い出をもっている。
これは政治以前の問題であり、人間の生存への脅威です。生存の権利を最優先するという立場から、私はフランスの知性と良心を代表するマルロー先生に、この席で、フランスが実験中止に向かって努力されるべきではないかということを申し上げておきたい。

マルロー:これについてはご返事を避けたいと思います。

池田:お立場があると思います。

《人間革命と人間の条件 文庫版P.37》
フランス政府文化大使アンドレ・マルロー氏と池田先生の対談集より。1974年5月18日に行われたもの。
過去の対談での池田先生は、かくも率直で過激であるようだ。