時間を無駄にするということ

時間を無駄にするとは、非効率的にする、無駄な必要のないことをすると思っていた。
しかし、本当に時間を無駄にするとは、自分のやりたいことに時間を使わないことなのだと、今、思う。



原因と結果を逆に認識している人が多い。

お金があって、好きなことができて良いですね」と言われるが、それは違う。好きなことがしたいから、金を稼いだだけだ。これは環境が良かったからとか、好条件だったからというわけではない。ただ、好きなことがどうしてもしたいから、しかたなく、寝る間も惜しんで頭を使って、疲れるけれど我慢をして、バイトをした。だから、金ができたにすぎない。偉いことでもなんでもない。原因と結果が逆なのだ。
たとえば、庭仕事をしていると、「綺麗なお庭で掃除のし甲斐がありますね」と言われることがあるが、これも逆だ、掃除をしたり、作業をしているから、庭が綺麗になるだけである。綺麗にしたいから、掃除をしているのだ。

頭が良いから勉強ができるのではない、勉強ができるから頭が良く見えるだけだ。高すぎて買えないのではない、買えないものを高すぎるというのである。

どうしてこのように、本末転倒が起こるのかというと、多くの人が、自分のやりたくないもの、自分が諦めたいものを、なにか原因を見つけて、それのせいにしているからである。

僕はよく「言い訳はした方が良い」と書いているが、多くの言い訳というのは、原因ではなく、結果的に見つけ出された生け贄のことで、その最たるものが「そんな暇はない」だろう。なにも理由が見つからないときに、これを持ち出すのである。だいたい、暇のない人間なんていない。人間は誰も暇だらけだ。暇だから寝ているのだし、暇だから食事をしているのだし、暇だからTVを見て、ゲームをして、酒を飲んで、友達としゃべっているのではないか。全部、暇のせいだ。こういう後付けの言い訳は、はっきりいって無意味なので、しない方が良いだろう。絶対に駄目とは言わないが、とにかく格好悪い。

つまりは、時間がないからやれない、のではなく、やれないから時間がないと言う、ということに気づくべきだ。こういうひねくれた大人は、逆の言い訳をしているうちに、それが本当だと思い込んでしまう。本当に自分は忙しくて、時間がなくて、暇がないと思い込んでいるのだ。そう思い込みたい心理がある。そうでないと、できない理由がなくなってしまうからである。

そりゃあ人間なんだから、体調の悪いときだってある、なにもやる気になれないことだってあるだろう。そういうときは、しかたがないから、いやいや、ぐずぐずと、だらだらと、仕事をすれば良い。体調の悪いときって、仕事くらいしかできない。

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上手くできません、と初心者は言うが、上手いかどうかは二の次。

小説を書きたい、工作をしたい、といったメールをもらう。「どうしたら、上手くできるようになりますか?」と尋ねる人が多い。たぶん、スポーツとか、仕事などでも同様だろう。たまたまスポーツとか仕事では、僕にアドバイスを求めないだけだ。

なんでも同じだが、どうして「上手くできません」と言うのだろう。何を作ったの? 何を書いたの? できたものを見せて、と言うと、たいてい、なにもできていない。ようするに、「上手くできない」のではなく、「できない」のである。

できないことの言い訳として、「上手くいかない」と言う。「自分が思ったとおりにできないから」なんて言う人もいるが、これも「できた」わけではない。ほんの少し「やりかけた」程度なのだ。

つまり、作品などを最後まで完成させていない。それでは話にならない。上手くいかなくても良いし、自分の思ったとおりにできなくても良いから、いちおう完成させてみてはいかがか、というアドバイスしかできない。

何故なら、たとえその道のプロや、あるいは天才の類であっても、「上手くできた」なんて思わないし、「自分の思ったとおり」にはならないと常々感じているのである。ただ、しかたなくそれでも作り続け、それを世に出しているだけなのだ。

どんなに上手くいかなくても、思ったとおりにできなくても、ものが完成すれば、それなりに嬉しいものだ。まあ、今の自分ではこの程度かもしれない、でも、よく頑張ったじゃないか、と自分を褒めてやりたくなる。そういう思いは、達成感であって、完全な満足ではないかもしれないけれど、苦しみのあとにほっと一息つける楽しみの一つだ。

一つの作品ができると、次はもう少しまともなものを作りたいと誰でも思う。だから、どうすれば良いのかと考えるし、一作めでやってしまった沢山の失敗を繰り返さないように注意もするだろう。したがって、一作書けば、「どうすれば上手くできるか」が少しわかる。また二作めを書けば、もっと「思いどおりに作れる」方法もわかってくる。作れば作るほど、貴方は上手になるし、思いどおりに作れるようになるだろう。

結局、上手くなる方法は作り続けることである。だから、作り続けている人は、そんな漠然とした疑問を口にしない。もっと詳細でスペシャルな疑問を持っているはずだ。

この頃の人は、「どうしたら楽しく○○できるか」といったことをよく話題にしている。この疑問に対しても、まったく同じ回答で処理ができるだろう。