「写真学生」小林紀晴

中沢けいさんの「書評 時評 本の話」に紹介されていた小林紀晴氏の「写真学生」を図書館で借りた。
高校を卒業して、東京の写真学校へ進学するところから話が始まっていた。計算すると、当時紀晴氏は30才。18才当時の記憶を書いているのだが、日記などを日常的に記録しているのでなければ、とうてい私などにはこんな当時の雰囲気、感情を文章にすることはできそうにない。



この頃は、ブログで記録している人も多いので、個人の文章を書き残す事は一般的になってきているが、それでも個人の日記の、その人本人の個人的思いを正直に書き残す事は難しいだろう。やはり、文章を出版して多くの人に読んでもらうような人は、その時々の経験を印象深く体の内部へ残しているものなのだと思う。


時が経った、昔の自分は、確かに人としては同じ人体だとしても、その内部としては全くの別人なのかもしれない。
この本を読んでいると、自分の青かった記憶の断片がよみがえってくる。確かに、色々なことに感じていた自分がいた。